アメリカ、親のいない子どもホームレス激増の実態

日本人にとってアメリカとは、進んでいる国であり、アメリカンドリームという言葉があるように、大成功するのはごく一部の人たちだとしても一般的なアメリカの人々は、庭つきの大きな家に住み、キャンピングカーのような大きな車を持ち、大きな犬を2頭ぐらい飼い、庭にはバスケットボールのネットがあり、休日には子どもたちが青空の下でボール遊びをしていて、両親は郊外の大きなスーパーに車で一週間分の食材をワゴンいっぱいに買い物してくるというようなイメージを持っているのは私だけだろうか。

アメリカは貧富の差が激しい。ホームレスがいるのは知ってるものの、子どものホームレスが140万人存在しているという。

健康への不安

ホームレスの子どもたちは、医療サービスを受けることが難しいため、喘息や多動症などの問題を抱え、治療を受けられないという。

学校に通う子どもたちも、留年や停学、退学処分を受ける割合は、通常の子どもたちの倍以上。暴力を受けたり、うつ病を抱える子どもは4人にひとりという高い割合である。

ホームレスの子どもたちの数を把握するのはむずかしく、学校に通学している子どもの情報と公共で提供されているシェルター(避難所)の登録情報から導き出す数字での把握ということである。

2013年~2014年の学校に通う中でのホームレスの数は140万人であった。この数字は2004年~2005年の数字が59万人であったことからすると2倍以上に増えている。2004年~2005年のデータが65%の回収率だったことから、調査の精度が上がったということも数字増加の一因と考えられるという。

ただし、この数字は学校に通っている子どもの数字であるために、学校に通っていない子どもの数は未知数である。

人種による人数の偏り

人種をアフリカンアメリカン、ヒスパニック系、白人系、アメリカンインディアンやアジア系と分けると、避難所にいるアフリカンアメリカンは、全体の48%、白人とヒスパニック系がそれぞれ23%となっている。アメリカ国内の子どものいるアフリカンアメリカンの世帯が全体の14%であることからすると、大きな偏りがあることがわかる。

年齢別の避難所にいる子どもの数

2013年のデータによると、滿1歳に満たない乳児が10%、1歳−5歳までの子どもたちが最も多い39%、6歳−12歳が33%、13歳−17歳が18%となっている。これらの数字は、家族を伴う子どもの数であるが、保護者のいない子どもたちの数が驚きなのである。5歳以下が5%、6歳−12歳が7%、13歳−18歳は87%という。

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親のいないホームレスの約9割を占める10代は、家出をしたものや親から家を追い出されたり、親への反発や親との連絡先を失ったりで親元に帰ることができない子どもたちである。その多くは、虐待を受けていたり実母でない人に育てられるなどの境遇であり、身元を特定するのが難しいため、ホームレスとしての数えるのが難しいという。

男女の割合

女子の割合は、全体の54%となっているが、保護者のいない10代のほとんどは男子であるということだ。

行政の取り組み

各州の知事が集まり、2020年までにホームレスを無くそうという取り組みを話しあっている。ニューヨーク市では、避難所から一般住宅へ移り住み、仕事の斡旋や教育プログラムを提供するという支援プログラムを始めているらしい。

トロントでは、学校を退学してしまった10代に対し、雇用に向け、卒業証明書を手に入れる為の取り組みを行っている。

心のケア

ホームレスの子どもたちにとってホームレスになることは、心が傷つきトラウマとなってしまう。これを救うための特別なケアも避難所で行われている。

ホームレスの子どもたちの定義

・夜に過ごす一定の居場所がない。

・車、公園、廃墟、バスや電車や空港やキャンプ場などで過ごす子ども

・一時的な避難所で過ごす子ども

・持家や賃貸などの住まいがなく、知人の家に住み込んでいる場合やホテル等に滞在しているもので、恒常的な住まいを確保する資金がないもの。

 

日本では日常に子どものホームレスを見かけることはない。統計によると全国で85人というデータを見たことがあるが、少なくてもゼロではない。

私的な経験であるが、何年か前のある夜のこと、終電間際に新宿の駅の地下通路を歩いていると、段ボールで寝床を作る大人たちに混じって1組の家族がいるのを発見した。7−8歳位の女の子が両親らしき中年男女の間にしゃがみ、寝床を作っている様子。床は、冷たいコンクリートの上に敷いた薄いダンボール一枚だった。

胸が張り裂けそうだった。家に連れて来たいと声を掛けようと思ったが、どんな親なのかを考えると足が止まってしまった。今でもあの薄いクリーム色とピンクのセーターの女の子のことが忘れられない。

アメリカ、いや世界にはもっとひどい境遇の子どもたちが大勢いるのである。

Source:childtrends

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