カンボジアの孤児院で3日間ボランティアした話

カンボジアでは長い貧困の歴史の中で、多くの貧しい子どもたちは孤児院で暮らしてきた。今、孤児院で生活する子どもの中で本当の孤児は30%とされ、多くの子どもたちは観光客から寄付を集めようとするビジネスに利用されているとも言われている。孤児ではない子どもたちまでが貧しく見える服装をさせられたり、ダンスを披露し観光客からお金を集めるため利用させられていると問題視されている。

ボランテイアで海外からやって来た外国人が、お気に入りの子どもたちを外に連れ出し、動物園を訪ねたりすることもあり、子どもたちに楽しい思いをさせてあげたいという観光客の純粋な奉仕の気持ちの一方、子どもたちのプライバシーが侵害されていると懸念されている。

ボランティアの実録を紹介

オーストラリアの女性が、アジアを旅する中でふと立ち寄ったカンボジアでのできごと。滞在中にふとした縁で孤児院でのボランティア経験をすることとなった。このようすをブログで紹介している。その内容は、少しだけ実際のボランティアの様子を覗き見することができるので、少し紹介してみようと思う。
女性の名前はリサさん。訪れたのは、カンボジアの観光の拠点シェムリアップにあるサンテピープ子どもの平和の家という名前の孤児院。そこで過ごした3日間の話しである。

ボランティアのきっかけ

リサさんが、フードマーケットで記事を書いていると、ある男性にもし時間があるなら、孤児院のダンスショーを見てみないかと声をかけられたという。リサさんの職業は不明だが、ジャーナリストでもあるようだ。

その晩のダンスショー

子どもたちのダンスショーは素晴らしいもので、見ていたリサさんもステージに招かれ、一緒に踊ったのだという。とても楽しかったので、その翌日も一日子どもたちと過ごしてみたいと思いもう一度孤児院を訪ねることとなる。

滞在を延長してボランティア

結局丸々3日間子どもたちと一緒に過ごし、英語を教えたのだった。カンボジアでは、子どもたちの数が多いため、学校は半日で終わるのだという。午前と午後それぞれ4時間ずつ通い、学校がない時間は家で英語の勉強をしているのだという。ボランティアで英語を教えてくれる先生がいて、一対一で学んだりグループで何か活動をする。

レッスンのために、施設には毎日9時に到着し、9時半からの2時間のレッスンを行う。そして、午後のレッスンが始まるまでの間には、いつも一人の女の子と外をぶらぶらして過ごした。スレイちゃんという17歳の女の子は、英語がとても得意でその子の家族の事や学校のことを話してくれたり、リサさんもオーストラリアの家族の写真を見せたり、カードゲームをしたりした。子どもたちも英語を学ぶだけでなく文化の違いなども学ぶ機会となった。

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教育のために両親と離れて暮らす子どもたち

少女は1つの部屋に他に5人の子どもたちと寝ているというが、硬いタイルの上にラタンのマットを敷いて寝ているとのこと。リサさんが、オーストラリアでは、マットレスのベッドに寝ていると教えるととても驚いていたという。

リサさんが出会った子どもたちは、みんな両親はいるものの、実家はとても田舎にあり、高校や英語を学ぶ機会がない。

リサさんは、改めてオーストラリアでの自分たちが恵まれていることを認識するとともに、カンボジアで出会った子どもたちが必死で勉強する姿に学校に通うことができて良かったという感想を持ったという。

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Image by Frontierofficial

 

ボランティアは問題か

ご紹介したリサさんのボランティア体験は、ボランティアを目的にカンボジアを旅したものではないので、ひとつの事例でしかないが、強引に子どもたちに何かを強要するものでもなく、お金を求められるものでもない極めて自然で素朴な子どもたちとの交流ではないだろうか。リサさんが滞在した孤児院は、現地のNPO法人が運営する施設。実際の名称は、孤児院ではなく子どもたちの家という表現を使っている。明るく前向きに勉強する子どもたちとの交流の様子からは、ビジネス化した深い闇の部分はあまり見えないのだが、施設によって、また運営母体によっても状況は違うのかもしれない。ただ、やはり気になるのは、子どもたちのダンスショーが観光客寄せに行われているということである。また、リサさんの滞在は、3日間であった。英語の勉強を支援するという点においてリサさんも子どもたちも充実した時間だったかもしれないが、リサさんのように短期滞在の人達が入れ替わり立ち替わり現れるという環境は、子どもたちにとって負担にならないはずはない。

 

両親のいない子どもたちの数が減った今、教育のために親と離ればなれに暮らす子どもたちが成長するとともに、カンボジアの経済が発展し、家族が一緒に住むことが普通の社会が近づくと信じたい。

Sourse:travelblog

 

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