たった20人しか学校に行っていなかったコンゴのダイアモンド村

光り輝くダイアモンドは、実は多くの奴隷労動や児童労働によって採掘されているということをご存知だろうか。コンゴも学校に通えず砂を掘り起こしてダイアモンドを探す日々を送る子どもたちがたくさんいる国の一つである。子どもたちの置かれている状況についてアメリカのTimes誌の記者が取材した。

ダイアモンド採掘の小さな村「ラングデイ」

コンゴの南西にある人口1万300人の小さな村「ラングデイ」。ムブンバ・ハバート村長は、実際に何人の子どもたちが住んでいるかを知らない。学校に通っている子どもの数がたったの20人だということだけは知っている。

村長は、教育の重要性は知っているものの、村にあるすべての学校は荒廃し黒板もなく教師も椅子もない状態だ。たった1つだけあるのは、テントで作った仮設の学校だ。サンフランシスコをベースとするアメリカの宝石の会社「Brilliant Earth」が出資してできたものだ。

そこには9歳から14歳までの少年少女20人が通っている。子どもたちは、教師が説明するフランス語の動詞や名詞を学びながら黒板にあるフレーズを書き写している授業風景を見ることができる。

この子どもたちは、厳しい基準で選ばれた。そこで学ぶ子どもたちは全員貧しい生活をする子どもたちで、その多くは家族や身寄りのない子どもたちであるという。

南アフリカで最低の教育レベル

村の収入源は、ダイアモンド採掘以外にはなく多くの住民は文字も読めない。

コンゴは南アフリカの中でも天然資源に恵まれた国の1つであり、銅やダイアモンド、金、タンタルという携帯電話などに使われる鉱石が採掘される。しかしながらその豊かな資源からの村への経済的な還元はなく、人々は貧しく人口の3分の1は読み書きができないという南アフリカでも最低の教育レベルである。

ユニセフによると、すべての子どもたちは一旦は学校に入学するが、小学校を卒業する子どもはそのうちたったの54%ということのが政府の統計であるという。

その主な原因は、教師たちが政府から支払われる給料が安すぎるため、保護者に負担するように求めるので、そのお金を負担できない保護者は次々と子どもを辞めさせてしまうのだそうだ。結果的に、5歳から14歳の子どもたちの42%は何らかの労働に関わっているということである。

コンゴの中でもダイアモンドが多く採掘されるチカッパ地区ではほとんどの子どもはダイアモンド採掘現場で働く。年上の子どもは掘り起す作業を行い、少し幼い子どもは砂の中からダイアモンドを探す、それより幼い子どもたちはフルーツやケーキなどを売り歩く。

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コンゴの地方の市長は、多くの住民がダイアモンド探しで富を得ればすべての問題は解決すると思い込み、子どもに教育を与えていない事実を問題であるとも語っている。

国の対策も始まっているが

Times誌の記者が、コンゴの首都で採掘の政府役人と面談した際に、その役人が語ったところによると、面談からさかのぼること数ヶ月前の2015年1月に、市民団体の働きかけにより、特にチカッパ地方のような子どもたちがダイアモンドの採掘現場で働くことを禁じる条例を可決したという。それにより採掘現場で働く子どもの数はかなり減ってきていると語ったということである。

ところが大きなロビーイスト集団の1人に聞くと、学ぶ場がないという事実があるため法律ではこの問題は半分しか解決されず、たとえ教育の機会があったとしても法外な金を要求される深刻な状況には変わりはないと語った。

唯一の学校は民間会社が提供する

テントの学校は、「Brilliant Earth」という宝石の会社が創設した。350万円を投じて作ったもので、教室、ユニフォーム、教師の資格を持った先生たちのほか週に3回給食が提供される。

「Brilliant Earth」の販売する宝石は、コンゴで採掘したものは使用しない。道徳的な理由から使わない。主にボツワナやカナダで採掘してたものを使っているということである。

現在、他の宝石の会社も学校を建てる計画があり、3年以内に6つの学校を作る計画となっている。1年以内に2つの学校が出来るという。2つでもたった40人の定員、教育を受けられる子どもはごく一部でしかない。

コンゴの南西の村ラングデイにある貴重な仮設のスクールに通う子どもたちである。ラングデイは、コンゴ共和国のダイアモンド採掘の中心地であり、西側諸国からのダイヤモンド商人や企業がダイアモンド産業をよりクリーンにし、人権を擁護し環境を改善し公平な取引を実現するために働きかけている(Credit: Lynsey Addario/ Getty Images Reportage for Time Magazine)

 

Source: time

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