ネパールで大規模な地震が発生してから約1年。ネパールでは、すべてを失った人々の復興がいまだ進んでいない。家族を助けるために多くの子ども達が教育を受けられずに働いているという。
記者が目にした過酷な労働
アメリカのメディア「ザ・クリスチャン・サイエンス・モニター」の記者が、ネパールのヒマラヤ地方のとある村に取材に入った。そこは、ネパールの家の材料であるレンガを製造する窯元が多く集まる村である。
記者がそこで目にしたのは、自分の体重よりも重いレンガを運ぶ少女や少年達であった。現場は、土ぼこりや釜焼きの2000度もの高温になるような子どもにとっては粗悪な環境だ。
ネパールの家は、レンガを積み重ねて作る家だ。震災で失った家を復旧するには必須の材料となる。ネパール国内には1100ほどの窯元が存在し、そのレンガ製造の現場で働く人々の数は25万人、そのうちの6万人は子どもだという。
多くの窯元が家族経営であるために、行政が学校に通うようにとの指導をしているものの、家族を手伝う子どもたちはかなりの量になる。両親はしっかり教育を受けさせたいと願うが、思うように通わせることができない。
家族を手伝う一人の少女
記者が少女に将来何になりたいか尋ねると少女は、「医者になりたい」「医者になって貧しい人々を助けてあげたい」と答えた。
両親は、通訳に対し娘が英語で記者の質問に答えたことを誇りに思うと伝えた。感動で涙が溢れていた。
出稼ぎの子どもたち
現地で働く子どもたちは、家族で働くものだけではない。ロバにレンガを乗せて運ぶ少年を発見した。記者が尋ねると、少年は遠くから働くためにやって来たという。両親が働けなくなり、裕福な男性の紹介でここに来て働くことになったのだ。
少年は、知らない人と口を聞くなと指導されているといい、幾つかの質問に答えた後に記者の元を去った。ネパールでは、子どもを労働者として売買するのは違法である。にも関わらず組織ぐるみで行われている。
児童労働によらないレンガ製造ということを証明するレンガメーカーに加盟する窯元は、わずか23か所である。
政府の児童労働への取り組みは、まだまだかかりそうだ。
Source: pbs