アメリカでは、子どもが整形するケースが多数報告されています。子どもが整形手術? それは、いじめが要因となっているのです。
やーい、おっきな耳! 変な鼻! 子ども同士でこんな言葉を浴びせることが頻繁に起こると、それがいじめとなっていくのです。子どもは、容姿が他と少し違うことに対して過剰反応するものです。
言われた子どもは深く傷つき、やがて登校拒否や引きこもりに発展していくケースもあります。アメリカでは、容姿に問題を抱え、それが原因でいじめの対象になってしまっている子どもたちをを手術による矯正で救う団体があるのです。
「エレフの耳(とんがった耳)」とバカにされ悩んでいた少年
アメリカ、ユタ州に住む6歳の少年ゲージ・バーガー。少年は、他人より大きな耳をしているために学校で周りの子どもたちに「エルフの耳!(とんがった耳)」と呼ばれいじめを受けていました。
少年の父親は、アメリカABCニュースの取材に対し、もともと陽気で明るい性格の息子がこの数年でだんだん内向的な性格になり学校に行きたがらなくなったと説明しました。
耳の事が原因ではと気がついた父親は、このいじめによって息子が変わってしまっては大変と思い、妻に相談したりネットで整形手術について調べ始めまたのです。そして、耳の横広がりをおさえる手術は歯の矯正と何ら変わらないものであるという認識を持ったのです。
少年に耳の突き出た部分をおさえ小さく見せる手術について伝えました。たったの2時間で終わる簡単な手術なんだと伝えると、ゲージは喜んで手術を受け入れました。
父親が手術を依頼したのは、ソルトレイクにあるステイーブ・モブレイ医師。モブレイ医師は、彼自身が耳の事でいじめをを受けた経験を持つことから、容姿が原因でいじめを受け悩む子どもたちに無償で手術を提供するチャリティー団体を運営しているのです。
手術が終了した後の少年の笑顔を見た父親は、この手術で自信を取り戻したゲージはもう二度と「誰も遊んでくれないから学校に行きたくない!」とは言わないだろうと語りました。
少年の手術の様子と可愛らしい笑顔はこちらの動画です。
ジョージア州の中学に通う14歳の少女ナディアは、小学校に入学した頃からずっと大きな耳を嘲笑されいじめを受けてきました。母親には心配をかけまいといじめの事実を隠し一人で耐え忍んできたと言います。
子ども達の前では気にしていないように見せかけ、スクールバスを降りた途端に泣きながら家まで帰る日々を送り、ベッドの中で泣きながら眠ることもありました。
10歳になった時に初めて母親にいじめについて打ち明け、耳を小さくする手術をしたいと懇願したのです。母親は、ナディアがそんな辛い思いをしていることを知らなかったので胸が締め付けられる思いをしたそうです。
ナディアを救った慈善団体の支援
しかしながら、ナディアの母親は、小児麻痺を患っているナディアの弟の薬を手に入れることだけで精一杯な経済状況。そこで、ナディアをなんとか救ってあげたいと思い無償で手術を行ってくれる慈善団体である『Little Baby Face Foundation』に掛け合い、ナディアの耳の整形手術が実現したのです。
手術に当たったのは、ニューヨークのレノックスヒルホスピタル(Lenox Hill Hospital)の整形外科院長であり、この慈善団体の会長であるトーマス医師(Dr. Thomas Romo)ですが、ナディアの悩みの耳だけでなく、顎や鼻のラインのアンバランスも一緒に改善する手術を行ってくれたのです。
ナディアは、手術後の顔に大満足で自分自身に自信を取り戻し明るく新学期を迎えることができたのです。ニュース番組でのインタビューで母親が受けた質問では、もし太っていることでいじめを受けたとしたら、その対策に脂肪吸引をすることも正しい選択なのかという少々厳しい内容に対し、母親の答えはやはり6歳の少年ゲージくんの父親と同じく、歯の矯正と同じだと考えるとのことでした。
手術後:自信を取り戻し明るくなったナディア
鼻が高過ぎることでいじめを受けてきた少女
表紙の写真は、ニューヨーク、Long Islandに住む13歳ニコレッタ・テイラー。幼い頃からモデルをやっているというアクティブな明るい少女。2歳と8歳で二度に渡り鼻の骨を折るという災難に見舞われた彼女の鼻は、曲がってしまい大きく出っ張った鼻になってしまったのです。
ABCニュースでの取材に対しニコレッタが説明した内容によると、鼻が原因でいじめが始まったのは8歳の頃。「ヘイ ビッグノーズ!(おっきい鼻)」という罵声を浴びせられ傷ついてきました。最近になり大っきな鼻!という意地悪なメッセージでフェイスブックでも攻撃されるようになりました。思い悩む娘を見た両親は、大きくゆがんだ鼻を整形手術で矯正することを決めたのです。
13歳という年齢は、手術を受け持った医師にとって最年少の患者だったとのことですが、医師の話によると、鼻の大きさは14歳でほぼ成人のサイズになるとのこと。14歳がまじかだった少女はギリギリだったようです。
この手術は慈善団体を利用したという情報は見当たりませんが、このようないじめを原因とした整形手術はとても多いのだということがわかります。
明るくダンスする姿(いじめを受けているとは想像できない雰囲気)
手術後の鼻の形の変化
アメリカでは、最初にご紹介した二つのケースである耳の出っ張りを止める整形手術は年間なんと11,000件を超える数行われているそうです。10代の整形手術の数は25,000人(2010年データ)とのことです。
子どもの容姿を無償で手術する慈善団体の目的は、生まれながらの奇形である口唇口蓋裂などを治療する目的で設立されたもの。いじめ対策としての観点から見れば、その対象となる容姿の奇形と判断する範囲は、実際には想像をはるかに超えるようです。
Source: ABCnews、 DAILY MAIL、ABCnews