アメリカの小児科学会が、一昨年、国内の中学・高等学校に対しスクールの始業時間を8時半より早くにスタートしないよう呼びかけました。それにより、始業時間を遅らせる学校がでて来ているようです。
学会の理論は、10代のこどもたちの理想的な睡眠時間は、8.5時間から9.5時間必要であり、想定される就寝時間から考えると8時半まえの始業では睡眠時間が十分確保されないということなのです。
アメリカの始業時間の現状は?
国立保健局(The Centers for Disease Control and Prevention)の発表では、アメリカの約8割のスクールが8時半前に始業しており、2011年度に39,700校を対象に行った調査では、始業時間の平均は8時3分となっていました。
スクールバス通学者の不都合
アメリカでは、高校を含め始業時間が7時台という学校も数多くあります。
スクールバスを共有しているために、上級学年は早く始業するという事情があり、始業時間が遅くなってもスクールバスを利用する生徒は早く登校し始業時間を待っていることになるのだそうです。
睡眠時間を確保するには
始業時間が早すぎることで、十分な睡眠時間が確保されていないんじゃないかということを懸念してのことですが、大人の睡眠時間は、11時に就寝し、起床時間は6時半が理想的であるのに対し、10代のベストは24時または25時頃に就寝、8時または9時頃に起床することだそうです。
そうすると、仮に7時半に始業したとすれば、頭がまだ眠っている時間に数学の授業をうけることを意味し、学習効率が極めて悪いということになります。
始業時間を遅らせることに異論を唱える人もおり、就業時間が遅くなれば放課後の時間が少なくなり、スポーツなどの課外授業が出来なくなると懸念する声もあがっています。
十分な睡眠時間は、健康な身体を作るための栄養と同じく重要であるとして、小児科学会は今後、始業時間を遅らせ睡眠時間の余裕を与えたことによる学力の向上の調査を行う予定とのことです。
日本の始業時間はどうなっている?
日本の学校では、早くて8時半、多くは8時50分に始まり、終業時間はたいてい3時30分から4時となっています。
諸外国の事情
驚くべきは、インドネシアでは、お祈りのために4時または5時に起き、6時台に始業するといいます。午後2時半位に終業ということですが、早ねを徹底することが必須になります。
イギリスでは、大学の調査研究で、勉強に適した始業は10時だとの理論が浮上し、10時始業に変更する学校も出てきているそうです。
イギリスのその理論によると、仕事の開始時間も10時がいいそうです。
朝に弱いものにとっては、ありがたいものです。
子どもの学校の始業時間が変わることは、家族の生活時間にも影響するものなので慎重に検討しなければならない問題です。
SOURCE: USATODAY、SCIENCEDAILY