学力世界トップレベルのフィンランド。その理由のひとつがフィンランドの教師のレベルの高さにあると言われます。「教師」は憧れの職業トップでもあるフィンランドの教育現場において、実際にアメリカの教師が働いて見たものから考えてみましょう。
フィンランドの先生のお給料は?
フィンランドの教師は、いつも素晴らしく、大学院で博士課程を終了した高学歴で給与も非常に高く敬われているものと聞かされますが、実際には、厳しい実情なのだそうです。
フィンランドで教師になるには、教育課程を大学で専攻したのちに大学院課程も修めなければなりません。大学院では、実務を徹底的に学ぶようです。日本では、教師になるには、短大または大学の専門課程を修了すれば教師になれるのですが、フィンランドでは、大学生の84%が大学院まで進むのだそうです。
アメリカとフィンランドの違いは?
1、アメリカも日本と同様、大学の修士課程を修了し、必要な実習や単位を取得していれば教師になれます。アメリカで大学院課程を修了した教師の割合は全体のたった48%。
2、教師の職業は、フィンランドではなりたい職業のナンバーワン。一方アメリカでは6番目。データが少し古いので、変わりつつあるようですが、今でもあまり人気の職業ではありません。
フィンランドでは、小学校の先生の競争率は10倍ということです。それは優秀なトップの10%が教師になるということなのです。
3、フィンランドの教師のクラスを受け持つ時間は、アメリカの半分しかなく、しかも、報告書のような役所に提出するための書類作成などの業務は一切ありません。校長にしてもそのような厄介な物はなく、クラスを週にいくつか受け持っているくらいのゆとりを持っているらしいです。
アメリカの教師は、教えることの他にたくさんの業務が課せられ、ストレスを抱え、教えるためのプランニングをする十分な時間がないのが実情。
4、フィンランドの教師は、そのほとんどが定年まで教師を続けますが、アメリカでは教師の離職率は非常に高く、毎年9%が転職、5年以内には約半分がやめてしまうのだそうです。
5、初任給では、アメリカが約380万〜450万円に対し、フィンランドの教師は、約310万〜370万円程度となっており、特別待遇がよいということでもないようです。
フィンランドの教師は、アメリカの教師に比べ、教壇に立つ時間が半分であり、教えることに専念でき恵まれていますが、実は、毎年、保護者による審査があり、その評価によっては職を奪われる可能性があるのです。多くのフィンランドの教師は、業務終了後に自費でスキルアップのために学校に通う教師が多いのだそうです。
フィンランドではなぜ「教師」が人気職業?
フィンランドの学力をささえる教師は、結果的に高待遇ではないし、保護者による審査などの厳しい環境の下で切磋琢磨していることがわかりました。それでは、なぜに人気なのかといえば、教えるということに集中できる環境と、職業に対する社会的信頼そしてフィンランドの世界をリードする子どもたちの学力をささえるというモチベーションなのかもしれません。
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