先月末、ヨーロッパ各誌がスコットランドの子どもたちの健康状態について懸念する記事を一斉に取り上げた。その発表した内容は、余りにも衝撃的であった。
スコットランドの子ども達の28パーセントが肥満であり、350万人の子どもたちが貧困だという。毎年400人もの子どもたちが救えることができる命を落としていると言うことなのである。いったいなぜそのようなことが起きているのだろうか。
貧困の定義
CPAGというスコットランドの貧困の子どもに取り組む団体の説明によると、平均の6割未満の収入の世帯を貧困と位置づける。スコットランドの子どもたちの5人にひとりを超える数が貧困ということだ。2011年以降の5年間に、貧困の割合は、人口の19%から22%に増えているという。
このままでは2020年ごろには全体の半分の子ども達が貧困になると予測される。
収入を具体的な数字で言えば、親ひとり子ども二人の世帯の生活費が月に約16万円、夫婦と子ども二人の世帯で22万円未満の世帯を言う。この数字は住宅費を差し引いた数字である。ちなみに、日本の貧困層の定義は、ひとり親に子ども二人の収入のボーダーが25万円ということだ。この数字は住宅費も全て含んだものなので、定義としては近いレベルということになる。
貧困が子どもに及ぼす影響
専門家の研究によると、貧困層の3歳から5歳の子どもの問題解決能力は、10ヶ月遅れ、言葉の発達は13ヶ月遅れるということだ。
また、貧困層の子どもは、慢性的な持病を持ちがちであり、その差は2.5倍以上であり、心の病にかかる割合は3倍にもなるということである。
不健康のもう一つの原因
子どもたちが健康を害しやすい原因のひとつと考えられているのが、貧困層の妊婦の3割が喫煙者だというのである。専門家は、母乳を与える母親の喫煙が子どもに悪影響を与えているのだという。
解決への取り組み
スコットランド政府は、子どもたちの将来のために取り組むために公共の場所での喫煙を禁じるなどの方策を打ち出し始めている。また、保育や住宅問題の解決や就職のサポートなどに取り組んでいる自治体もあるが、まだまだ問題解決の道のりは長いという。