バングラデシュの児童婚の数はアジア南部ではインドやネパールを抑えて最も高い国であることが最近の調査で明らかになった。調査を行ったNGO組織の「Care Nepal」によると、根本となる原因は、古くから染み付いた宗教を基にした考え方や花嫁の持参金制度、貧困などが深く関わっているという。(✳写真はバングラディシュの児童婚の様子、この記事の当事者ではありません。)
減らないバングラディシュの児童婚
調査によると、バングラディシュでは、18歳までに結婚する少女は65%であり、そのうち15歳までに結婚する少女は29%にのぼる。2番目に多い国はインドで18歳までに結婚する割合は47%、3番目が41%のネパールである。
バングラディシュの13歳の少女
地元のジャーナリストのジョセフ・アルシン氏が13歳の少女の悲惨な結婚について取材した。少女は、バングラデシュに住むラシダ・カータンちゃん13歳。カータンちゃんは、15歳にもならないうちに結婚させられた。カータンちゃんの説明によると、結婚式に呼ばれていくとそれは自らの結婚式であった。相手はカータンちゃんの通う学校の関係者の男であった。
男の名は、アブダル・リヒム。その男は、カータンちゃんが通う学校の経営陣のトップにいるもので、32歳の企業家だった。カータンちゃんはその日からその男の家に連れて行かれ、数週間もの間拘束されていた。男は、カータンちゃんに暴力を振るうなどはなく、毎日家事をして過ごしたという。後になってカータンちゃんが静かに語ったのは、その男は毎日3回レイプしていたということであった。バングラディシュでは、婚姻関係があれば犯罪にはならない。
その男には、妻子がいた。カータンちゃんはその男に見覚えがあった。その男もまた、学校でカータンちゃんを見かけ思い通りにしたいと思ったと考えられるとのことだ。
警察に救出される少女
カータンちゃんに会って直接話を聞くことができたジャーナリストは、この事実を記事にしたことで、すぐに地元警察がカータンちゃんを見つけ出し救出された。しかしながら、その男は逮捕されることはなかった。
バングラディシュでは、レイプの犯罪の刑は非常に軽く、罰金がたったの13ドル。その事件からわずか2週間後に国家首相は、児童婚を減らす対策を打ち出した。同時期にロンドンで行われた「ガールズサミット」の開催期間中のことであった。自国において15歳未満で結婚する少女を2021年まで撲滅すると宣言した。
警察が恐れる宗教団体
バングラディシュでは、女性に対する差別撤廃や児童婚への条約をを批准したものの、撲滅を訴えるNGO組織によると、政府は民衆の反応を非常に気にしているという。特に宗教団体の反発を懸念しているという。
バングラディシュの児童婚の主な理由は、貧しく生活が厳しいことである。NGO組織の調査によると、貧困世帯の80%は児童婚をおこなっており、少し生活にゆとりのある世帯では53%とその数字は少なくなる。
依然解決に取り組む気配のない政府
現在のバングラディシュの法律では、婚姻ができるのは18歳。16歳以上の場合は親の承諾があれば婚姻できる。政府は現在、結婚の合法的な年齢を18歳から16歳に引き下げようとしているなど、解決に向けた対策がとられる気配はない。現在の18歳でも16歳以上の場合は親の承諾があれば婚姻できるため、あまり意味のない法律になっている。
カータンちゃんは、その男から逃げた今でもその男に脅されるなど恐怖に怯えながら過ごしている。しかしながら、警察に助けられたので、警察を責めようとは思わないという。ただなぜにそのような男が野放しにされているのかが疑問だと語ったという。
Source;takepart、blogs.dw、business-standard