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ミシシッピーの保育所の危機的状況は日本も他人事ではない

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アメリカ、ミシシッピー州の保育事情は、とても不安な状況にある。そこには、日本が現在抱えている保育士不足という共通した問題が根本にある。保育士不足によってもたらすさまざまな基準違反に、行政も施設もそして保護者も大きな苦境に立たされている。

現場の実態調査

ある調査機関が行った保育現場の調査結果がある。30ヵ所で働く保育現場のスタッフへのインタビューや393の現場調査、そして79の苦情調査により様々なことが明らかになった。現場は、常に規則に縛られ、違反すると罰金が科せられる。国の援助は最低なものであるため、施設の運営費が罰金によりさらに圧迫されることで、人材のコストを削減せざる負えない。子ども達への安心安全な環境づくりが困難な状況である。

保健局の基本監査項目は5つ

保健局は、2年に一度各施設を回り主に5つのポイントについて監査を行っている。その内容とは

1 子どもの人数に対して適切な人員配置ができているか

2 スタッフのアテンドなしに子どもたちを放置していないか

3 スタッフ採用時に個人の経歴を確認しているか

4 CPRトレーニングを受けているか

5 救急救命講習を受けているか

以上5項目となっているが、施設内の基準は、調理施設など他にも様々な調査項目や罰則が設けられており、違反の場合や子どもの安全に関わる事象にそれぞれ罰金が科せられることになっている。

現場の違反の実態

2013年度の施設の調査では、全体の6%に当たる23施設が何らかの指摘を受け、罰金が課せられている。そのうちの17施設は過去にペナルテイを受けており、そのうち8施設は、1000ドル(約10万円)以上の罰金を課せられているという。

ある施設では、施設の加熱した金属管に乳児の手が触れ火傷を負った。放課後の児童のお預かりでは、77人の児童に対しスタッフが1名しかいなかったという。最低基準は児童25人に対しスタッフ1名だそうだ。また他の施設では、スタッフが不適切なしつけを行っていたが、暴力ではないとして見過ごしたという。車の中に5人から6人の子どもだけを残したまま、スタッフがガソリンスタンドに降りて行ってしまった。警察に通報された時に、施設が警察に抗議し500ドル(約5万円)の罰金を半額に下げさせたという。

乳児のうつぶせ寝

取材のスタッフがミシシッピー州の保育施設40カ所を回り施設長にインタビューを行った。綺麗に片付けられ、絵本やおもちゃがきちんと揃い、熟練したスタッフとともにアクティビティを行う子どもたちの施設もあれば、寝ている乳児は毛布に包まれ、うつぶせ寝をしているところや車のシートに寝かせられている赤ちゃんもいるなどアメリカ小児協会のSIDS対策に明らかに違反しているところもある。

テレビがついている保育室

ミシシッピー州の保育施設の規程では、2歳以下の子どもの施設でテレビを見せるのは禁止されている。しかし、スタッフが回った施設の中で、保育室内でテレビがついている施設が3カ所あったという。

食物アレルギーにも無頓着

3カ月になる乳児をあずけていた母親は、迎えに行った時にピンク色の染みが衣服に着ているのを発見した。その後自宅に戻った後、乳児は嘔吐した。嘔吐物がピンク色であったことから救急病院に連れて行くと、医者の診察でジュースか何か口にしたのではないかということであった。

翌日、スクールに問い合わせたところ、他の子どもが飲んでいた苺ミルクジュースかドロップを誤って口にしたのではないかということであった。保護者は、万が一食物アレルギーを持っている子どもならどうなっていたのだろうと恐怖に感じたという。

 ミシシッピー州の生活レベル

ある非営利団体の調査によると、ミシシッピーの保育施設の安全基準レベルは、アメリカ50州のうち38番目に当たる。

ミシシッピー州には1521の保育施設が存在し、数千人の子どもたちが通う。ほとんどが私立だが認可されわずかな州の助成金と非営利団体によるサポートによって改善に向けて取り組まれている。

ミシシッピーにおいて心配なことは安全面だけでない、教育の面でも遅れをとっているということだ。住民の23%は貧困世帯であり、16歳から24歳の18%以上が学校にも通っておらず仕事にも就いていない。ミシシッピーは、国内ではワースト3にカウントされる。

保育士不足の実態

ミシシッピー州の施設では、スタッフの退職による交代が目まぐるしい。経験のあるスタッフを見つけるのは非常に難しい状況である。また、施設の運営予算も厳しい状況だ。月謝は保護者の収入によるが、ミシシッピー州は、国内でも最低レベルの収入であるのだ。

町の中で一番安いと言われている施設では、一週間の保育料は、70ドル(約7000円)だ。スタッフの給与は1時間7ドル2.5セント(約700円)であり、短大を出ているスタッフの場合は8ドルになる。保健局に課される罰金によりさらに運営費が圧迫される。この施設が2011年から約2年間で支払った罰金は、約37万5000円になる。適正な人材配置が危ぶまれる金額だ。

保健局の調査官の苦悩

2014年1月のこと、保健局の調査で浮上したクレーム内容に、ある施設で子どもに期限切れの牛乳を与えたり、数人のスタッフで相当人数の子どもたちを受け入れている。という内容があった。調査官が訪ねたところ、施設のオーナーがひとりで1歳から4歳の幼児59人を預かっていたのである。ほかのスタッフが27人の児童を見ており、その他に、学生ボランテイアが18人の児童を見ている状況であった。アメリカの規程では、1歳児9人にスタッフ1名、児童は25人に1名となっている。

オーナーの話によると、車で子どもたちを迎えに行った時に2人のスタッフが具合悪くなり、施設にいた2人のスタッフが対応に向かったために一時的にスタッフが少なくなったというのであった。結局、2600ドル(約26万円)の罰金ということになった。

調査官は、4人のスタッフが全員集まるまで一時間半待ったということである。ちなみに戻ってきたスタッフは子どもは連れていなかったということである。

ある施設では、子どもをスタッフが叩くという体罰を与えているというクレームがあった。調査官が施設に行くと調査している1時間14分間、そのスタッフはお昼の休憩だとして留守であった。

そのスタッフのファイルなどを調査したが、証拠になるようなものは見つけれずに調査は終了した。解決に向けて解明したいとする保護者にとって歯がゆいものである。

保健局の調査は、担当者によって対応が異なるという不満が現場から上がっている。調査官によって調査内容や結果、処罰に差があるというのだ

実は、検査官もまた長く続ける人が少なく入れ替わりが激しいため、熟練した調査官と研修を終えたばかりの調査官とさまざま存在するという。

貧困・スタッフの低賃金・人材不足・罰金という負のスパイラルは、日本の保育士不足と低賃金という現在抱えている問題に似ている。日本でも表には大きく報道されることはないが、適正人員が配置されていない保育施設は予想以上に多く発生しているのではないだろうか。

Source: clarionledgermsdh

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